トップページ > アーカイヴ > インタビュー > Vol8. 山崎伸子&ヴァディム・サハロフ インタビュー

アーティストボイス

山崎伸子

山崎伸子 インタビュー

 Nobuko Yamazaki
 聞き手=トッパンホール
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サハロフさんと共演するのは今回が初めてになりますが、とにかく、とっても楽しみにしている演奏会です。

ヴァディム・サハロフサハロフさんの演奏を最初に聴いたのは、ギドン・クレーメルが「ロッケンハウスの仲間たち」と初来日した時(1989年)だったと思います。シュニトケのピアノ・クィンテットだったかな、音色や音楽そのものにとてもインパクトがあって、素晴らしいピアニスト!ということがすごく印象に残っていました。その後、チェロの菅野博文さんとシューマンのアルペジオーネ・ソナタを弾いたのも聴かせていただきました。あのピアノは単純なようでいて、実は、ピアニストの資質が問われるくらいに、とても難しい曲だと思っているのですが、その時も本当に素晴らしかった。それ以降“サハロフさん”という人が、気になるピアニストとしてすごく頭にあったのですが、この3月に、トッパンホールでの久保田巧さんとのデュオ(オール・プロコフィエフ・プログラム)を聴いて、是非一緒に弾きたい、と思ったんです。

山崎伸子3月のプロコフィエフでは、母国の血が騒ぐって言うのでしょうか、もちろんちゃんと音楽をつくっていらっしゃるわけなんだけれども、そういう事より前に、ロシア人としてのサハロフさんの血が体の中からふつふつと湧き出てくるというか、それを目の当たりにしたような感覚をすごく強く受けました。自分が日頃演奏しているのは“西洋音楽”なんだ…って、お国柄や人種と言ったものが、やっぱりあるんだな、と思いましたね。その事があったので、サハロフさんとご一緒できるなら“プロコフィエフは是非やりたい”と、まずこの曲を決めました。次に“彼ならブリテンもすごくいいんじゃないか”と思い、このふたつはロストロポーヴィチに献呈されたつながりがあるから、じゃあそれでまとめよう、と3曲めをショスタコーヴィチにしました。

今回の共演では、サハロフさんから、いろいろなインスピレーションをたくさんもらえるんじゃないか、とワクワクしています。頭のなかで理解しているものじゃなくて、体から自然と湧き出てくるような、ほんとうに血、とでも言うべきもの。サハロフさんは気持ちが先行する音楽家なので、私の音楽より全然強くて、私なんか吹っ飛んでしまうかも知れないけれど、そういう強いものを持っている人と演奏することで刺激を受けると、自分自身に新しい発見があるかも知れません。どういう結果が出ようが、とにかく楽しみにしている演奏会だし、お客さまにも是非その場を共有していただいて、何かを感じていただけたらと願っています。

(2003年7月 湯布院にて)