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アーティストボイス

漲る気合いで挑む、円熟のプログラムに進化を続けるフロントランナーの矜持を聴く!
須川展也 インタビュー

須川展也 インタビュー

 Nobuya Sugawa
 聞き手=トッパンホール
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 〈おとなの直球勝負〉のお話をいただいたとき、普段はサックスを聴かない方々に、サックスという楽器と須川というアーティストにできるだけ興味を持っていただける内容にしたいと思いました。とはいえ、よく知られた名曲を安易に編曲した作品を並べただけのプログラムは、トッパンホールでは絶対に許されない。そこで、サックスならではの魅力をプラスでき、しかも、僕自身の体にすっかり入り込んだ、自信を持って演奏できる曲を揃えたプログラムで勝負することにしました。

 冒頭、客席の雰囲気を現実世界からガラリと変える《サマータイム》でスタート、続く《バイ・シュトラウス》では〈直球勝負〉の中に変化球の要素を織り込みます(笑)。ピアソラは、パリで楽譜を漁っていた若い頃に出会って以来、僕にとってライフワークともいえる存在。たくさんあるレパートリーの中から、極めつきの2曲を勝負どころに持ってきました。メロディがとにかく美しい《サムソンとデリラ》、終盤特に盛り上がる《クープランの墓》と続けます。なんとなく並んでいるようで、実は「これ以外にはありえない」順番。みなさんにもぜひ、「演出家・須川」の企みを、聴いていただきたいですね。

 ピアノの宮谷さんは、ソリストとしての華があり、ゴージャスな音を鳴らすことができる人。後半は、ピアノ・ソロ《月の光》でスタートし、同じドビュッシーの《喜びの島》につなげます。この曲は、ジャズサックスの大御所、ブランフォード・マルサリスの録音をCDで聴いて、そのカッコよさに惚れました。途中のカデンツァは僕の即興で、聴かせどころのひとつです。後半のハイライトが《牧神の午後への前奏曲》。2つの楽器で演奏しているとは思えない多彩な音をお届けしたいと意気込んでいます。

 すべての曲に共通しているのは、「サックスでやるからこそ面白い曲」だということ。「有名だから」選んだ訳じゃない。楽譜を吟味し、作曲家の求めているものが何かを知った上で、あえてサクソフォンならではの演奏に作り上げる。本来フルートのために書かれたソロも、「サックスのほうが良いんじゃない?」と思いながらやる(笑)。今回のプログラムは、いまの僕にできる、ナンバーワンのプログラミング。ひとつひとつの演奏会を大切に、階段を上るように進んできた僕の、人生を表現しているといっても過言ではありません。

 トッパンホールは、トルヴェールクヮルテットでも何度もやっていて、大好きなホールです。音の素晴らしさはもちろんですが、408席というサイズが、室内楽のホールとしてベストですよね。お客さまひとりひとりに、きちんとニュアンスを届けることができる。良質なホールがあまたある中でも、まるでホームグラウンドのようにさまざまなことに挑戦できる素晴らしいホールが、トッパンホールです。この大切な場所で、変化球と直球を僕なりに組み合わせたこのプログラムでみなさんの心にストライクを投げ込めるか。今から気合い充分、すごく楽しみにしています!
〈おとなの直球勝負 8〉
須川展也(サックス)
2009年3月14日(土) 17:00
須川展也(サックス) / 宮谷理香(ピアノ)
ガーシュウィン(伊藤康英編):サマータイム
ガーシュウィン(伊藤康英編):バイ・シュトラウス
ピアソラ(啼鵬編):アディオス・ノニーノ
ピアソラ(啼鵬編):リベルタンゴ
サン=サーンス(加藤昌則編):歌劇《サムソンとデリラ》より 〈あなたの声にわが心は開く〉
ラヴェル(加藤昌則編):組曲《クープランの墓》より プレリュード、フォルラーヌ、リゴドン、トッカータ
ドビュッシー:月の光(ピアノ・ソロ)
ドビュッシー(前田恵実編):喜びの島
ドビュッシー(貝沼拓実編):牧神の午後への前奏曲
ガーシュウィン(長生淳編):ラプソディ・イン・ブルー
■一般 5,000円 / 学生 3,000円