トップページ > アーカイヴ > インタビュー > Vol41. 森 麻季 インタビュー

アーティストボイス

喜びに満ちた至福のひとときを、みなさまとともに感じたい
インタビュー

森 麻季 インタビュー

 Maki Mori
 聞き手=トッパンホール
森 麻季
©Yuji_Hori
── プログラムの軸に、ハイドンとヘンデルの声楽作品をすえたのはどうしてですか?

 2009年は、ドイツの大作曲家で「音楽の母」とも称されるヘンデル、オーストリアに生まれ「交響曲、弦楽四重奏曲の父」ともいわれるハイドンの、それぞれ没後250年、200年となる特別な年。私自身、この2人の偉大な作曲家がとても好きで、いつの日かリサイタルでとりあげたいと心待ちにしていました。
 オラトリオ《メサイア》の〈ハレルヤ〉や、〈オンブラ・マイ・フ〉をはじめとした声楽作品が、日本でもよく知られているヘンデルに比べ、ハイドンの声楽作品は決して多くありません。オペラで目覚しく活躍していたモーツァルトに敬意を払い、あまりオペラ作品には力を注がなかったともいわれていますが、実際には、モーツァルトの《ドン・ジョヴァンニ》やロッシーニの《セヴィリアの理髪師》といった、オペラを代表するような作品の原型になっているのでは!?と思わされるほどの優れた作品も遺しているのです。一歌手として、ハイドンの声楽作品がもっと親しまれるようになればと、常に願ってきました。
 また、ヘンデルやハイドンの作品にみられる「A-B-A'」のような形式では、もとのAの部分に戻った際、装飾などにどう変化をつけるか、演奏家の技量に委ねられているという特徴があります。冒頭と同じメロディーをふたたび歌うとき、どのような変化をつけて表現しているか、みなさまも楽しみにしながらお聴きいただければ幸いです。

── 日本歌曲も歌われますね。

 ドイツやイタリア、それにフランス、それぞれの国にお国柄や言語の特徴が活かされた音楽があるように、日本歌曲にも、日本らしい繊細でしなやかな美しさがあります。歌手としてさまざまな言語に触れれば触れるほど、日本語のきめ細やかで多彩な表現には、日々圧倒される思いがします。母国語でもある日本の作品は、生涯を通じて勉強し、歌っていきたいと思う存在ですね。

── トッパンホールの印象をお聞かせください。

 以前出演させていただいたときは、素晴らしい音響のおかげでホールが上質な音に満たされ、まるで極上のワインやお料理を口にしたときのような幸福感が広がったことを覚えています。
 音楽的にも音質的にも、細かい部分までお客さまに聴いていただける空間ですから、表情の動きなども身近にご覧いただきながら、それぞれの作品が持つ美しさと芸術性を最大限に引き出せるよう、心を込めて歌いたいと思います。

── 森さんのリサイタルを楽しみにされているお客さまにメッセージをお願いします。

 今回は今までに歌い込んで来た作品も含め、とっておきのプログラムをご用意しております。日々、ニュースなどで耳にするさまざまな出来事に対する祈りの気持ち、そして、舞台の上でこうして歌い続けていられることへの感謝の気持ちをこめながら精一杯歌いますので、みなさまにも最後までお楽しみ頂ければ幸いです。
森 麻季 ソプラノ リサイタル
2009年4月15日(水) 19:00
森 麻季(ソプラノ) / 山岸茂人(ピアノ)
ハイドン:オラトリオ《天地創造》より アリア〈今や野はさわやかな緑を〉
ハイドン:オラトリオ《天地創造》より アリア〈力強い翼をひろげて〉
ハイドン:オラトリオ《四季》より アリア〈何と爽やかな気分〉
ヘンデル:オペラ《リナルド》より アリア〈涙の流れるままに〉
ヘンデル:オラトリオ《メサイア》より アリア〈シオンの娘よ、大いに喜べ〉
ヘンデル:オペラ《セルセ》より アリア〈懐かしい木陰よ(オンブラ・マイ・フ)〉
中田喜直(加藤周一 詞):さくら横丁
越谷達之助(石川啄木 詞):初恋
山田耕筰(北原白秋 詞):からたちの花 他
■一般 6,000円 / 学生 3,000円