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聴いたら誰もが好きになる!“知る人ぞ知る”室内楽の傑作、ブラームス、ピアノ四重奏曲の魅力に迫る!
清水和音 インタビュー

清水和音 インタビュー

 Kazune Shimizu
 聞き手=トッパンホール
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 “生真面目な天才”ブラームスは、あらゆるジャンルでたくさんの傑作を残していて、とりわけ、晩年にいたるまで書き続けた室内楽には素晴らしい作品が揃っていますが、コンサートではなかなか演奏する機会がなくて、“知る人ぞ知る”存在にとどまっているのがなんとももったいない。それで、ぜひみなさんにもその真価を知っていただきたいという思いから、室内楽の傑作と後期のピアノ・ソロを組み合わせたプロジェクトを始めました。

 1月の第1回で演奏したホルン三重奏曲は、まっさきに取り上げたかった曲。共演者ふたりはとにかくずば抜けたテクニックの持ち主ですが、音楽的には、非常にまっすぐでバランスのとれたバボラーク(ホルン)と、頑固で徹底的にこだわり抜くナストゥリカ(ヴァイオリン)、それぞれの個性がまったく異なっているところがスリリングでした。似たもの同士で生み出す音楽もいいけど、あのコンサートでは異質な個性が高いレベルでぶつかりあう、面白い演奏に仕上がったんじゃないかと思いますね。

 普段は、室内楽とソロを同じプログラムで同時には弾かないと決めていますが、今回はそうじゃない。1月の公演でやってみたら、ソロではとても緊張しました(笑)。ひとりで舞台を背負って立つ大変さをヒシヒシと感じましたね。でも、トッパンホールはピアノの状態がとても良いので弾いていてウキウキするし、なかなか生では聴いてもらえないブラームス後期のピアノ・ソロを、素晴らしい楽器で披露できるのは嬉しいですね。

 シリーズ2回目の今回は、ピアノ四重奏曲の第1番と第3番を弾きますが、どちらも類まれな傑作だし、まったく異なる味わいがあります。第1番は耳なじみが良くてラブリー、みんなが求めるブラームスの要素がすべて入っている感じ。第2楽章がすごく好きなんですが、ジプシー風の第4楽章も興奮します。一方で第3番は、さらっと聴くと後期特有の難解な印象があるけれど、実際はとてもシンプルでとっつきやすい。第3楽章のチェロの聴かせどころは本当に素晴らしいので、ワトキンスの演奏が今から楽しみですね。ピアノ四重奏曲は、単独でもあまり弾かれない曲だけど、それを2曲も聴き比べできるプログラムなんて聞いたことがない(笑)。これも、ラインナップに惚れ込んで足を運ぶお客さまに恵まれたトッパンホールだからこそできる挑戦です。共演者たちもつわもの揃いだし、間違いなく面白くなると思いますよ。

 2011年のデビュー30周年を前に、音楽に対する考え方がずいぶん変わってきました。若い頃は、単純に楽しい曲が好きだったし、ひとつひとつの曲についてそれほど深く知らなくてもいいかな、と思うこともあったけれど、歳を重ねるなかで、偉大な作曲家が晩年に書いたひと癖もふた癖もある作品に、同世代ならではの共感を抱くようになりました。年齢とともに肉体面や技量は当然衰えていきますが、色々なことがある人生の中で少しずつ成長してきたという自負もある。こんなこと言うなんて、僕も歳とったんだと思うけど(笑)、今の清水和音だからできる「若書き」ではない演奏を、みなさんにはぜひ聴いてもらいたいですね。
〈清水和音 ブラームス・プロジェクト 2〉
ダニエル・ホープ(ヴァイオリン)、赤坂智子(ヴィオラ)、ポール・ワトキンス(チェロ)、
清水和音(ピアノ)

2009年9月26日(土) 17:00
ブラームス:ピアノ四重奏曲第1番 ト短調 Op.25
ブラームス:ピアノのための6つの小品 Op.118
ブラームス:ピアノ四重奏曲第3番 ハ短調 Op.60
■一般 6,000円 / 学生 3,000円