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激動の日々を超えて・・・

2012年2月16日 木曜日 ボンジュール小石川 | | コンサート情報

歴史に翻弄されている、ということは、その翻弄から抜け出すことが叶ったのちにはじめて、「そういえばあの頃は翻弄されていたのだ」と振り返るものであって、いま、まさに激しく人生を弄ばれているというそのとき、

 

「ああ、わたしは今、歴史の海で溺れかけたワラシベのようなものネ」

と達観できるようなヒトは、そうそういないもの。

 

人間には日々歩まなくてはならない日常があって、およそ激動の人生であればあるほど、その日常をクリアするのに精一杯、血相を変えて生き延びるのに必死になって、やれやれとようやくひと心地ついたそのときに、やっと、みずからが置かれていた厳しい状況に気付いて呆然とする。

 

そうして、ヒトとは少し違う磨かれ方ではあるけれど、激流にもまれてあちらこちらにぶつかるうちにやわらかく角がとれ、えもいわれぬ丸みを帯びた美しい石のように、魂深くまで届く輝きとあたたかな存在感に溢れている自分に気付く、

 

そんな体験をして、今まさに柔らかな輝きを放つピアニストが、シュ・シャオメイです。

 

文化大革命の狂気が荒れ狂う中国で若き日を過ごし、ブルジョワのレッテルとともに生き、惑い、みずからの居場所を求めてたくさん傷つき、傷つけてもきたこのピアニストが、もしすくすくとなんの苦労もなく育っていたならば、果たしてどんな「音楽」を奏でていたのか。

 

彼女の「音楽」は、数々の試練の中でも常に絶えることなく奏でられ、あちらに当たり、こちらに当たり、少しずつ余分なものをそぎ落としながら、シンプルにシンプルにカタチを変え、けれども、その芯には、あたたかく熱い思いがマグマのようにたゆたっている、いま私たちが、そのマグマに直接触れることができる、その幸せ。

 

猛烈な勢いで世界のトップを目指す、いまの中国に生まれ育った新しい感性とは、ひと味もふた味も違う、文字通り、いま聴いておかないと失われていく歴史の記憶。西洋と東洋の衝突と融合が、シュ・シャオメイの小さな体の中で力強く花開く瞬間は、聴き逃してはいけない遺産のような気がしています。

 

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