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異文化体験 その3―「波にのる」おまわりさん

2013年7月 8日 月曜日 春 | | ホールよもやま話

渋谷の交差点で熱狂する群集を、軽妙なアナウンスで警備誘導した警察官が、にわかに注目されました。群集を力ずくでコントロールするのでなく、心をつかみ協力を促すという手法が、珍しかったということでしょうか。

このニュースで、少し似た話を思い出しました。

 

それは、ローリング・ストーンズのワールドツアー・コンサート。

遠い昔のウェンブリー・スタジアムでのことです。ロンドン郊外にあるこのスタジアムはサッカーの聖地として知られていますが、コンサートもしばしば開催されています。運よくチケットを手にした私は、嬉々として早くから会場に臨みました。夕暮れ前にスタジアムに入り、前座をいくつか楽しんだ後、陽が傾いたころにストーンズのステージが始まり、ぐっと盛り上がる終盤にはすっかり日没...、という天空の景色も堪能できる、極上のコンサートでした。

 

ちなみに、それは現在の巨大スタジアムに改装される前の旧スタジアム。旧とはいえ1948年のロンドン・オリンピック競技場でもあったほど、充分広いスタジアムでした(しかも、石造りで趣きありました)。観客席に放射状に広がるすべての通路にはそれぞれ十数人の警官グループがいて、満員の観客と向き合っていました。

ストーンズだって、当時は、もうすでに大御所。相変わらずワルではあるけれど、キケンな香りは全盛期の頃に比べれば...。とはいえ、まだまだしっかりした警備が必要だということなのでしょうか。

 

前座が終わって、メインのステージが始まる前のことです。さあ、始まるぞーと、スタジアムの空気が盛り上がってきます。客席にはどこからとなく、ウェーブが起きます。向かい側の客席のウェーブが、スタジアムをぐるっと廻って徐々に近づいてくるのを、今か今かと待つのはワクワクする瞬間です。ウェーブは、主役の登場を待つ間、スタジアムを何周もします。

 

そこで、気がついてしまいました!

ウェーブがやって来ると、どのグループのおまわりさんも一斉に両手を上げウェーブに参加するのです。それも、完璧なタイミングで高々と!(...一介の日本人である私には、驚愕の光景でした。)

が、周囲の観客はそんなことに構わずウェーブに興じています。そして、会場が一体となったその時、スタート・ミー・アップなのでした。

「波にのる」ことができ、威圧的でないおまわりさんたちのおかげでしょうか。観客はお行儀良く(?)暴れ、踊り、コンサートはぐいぐい盛り上って行きました。

 

そして、もちろんですが、ワールドツアー・コンサートは何のトラブルもなく平和裏に終わりました。

あー、楽しかった!イギリスのおまわりさんたちのフトコロの深さを垣間見たような、心温まる一日でした。

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