トッパンホールスタッフが最新情報をお届けします!

TOPPAN HALL Official Blog

TOPPAN HALL

ボンジュール小石川: 2009年7月アーカイブ

教養が調味料

2009年7月17日 金曜日 ボンジュール小石川 | | ホールよもやま話

ようやく、1Q84を読み終わりました。

 

え?ええ、読んでたんです、実は。かれこれ3週間以上前から、Friskyさんには内緒で・・・。

 

確かに、冒頭からヤナーチェクの《シンフォニエッタ》が印象的に登場しておりました。

 

と、同時に、物語の鍵を握る「ふかえり」が、《マタイ受難曲》の一節を諳んじてみたり、「老婦人」が古楽(ダウランドだったかな?)を愛していたり、そこかしこにさまざまな音楽が流れ、なんと「ふかえり」は、平家物語を歌ったり(?)もします。西洋クラシック音楽ではないですケド。

 

きっと、そのスリリングな内容で、なーんにも知らなくてもグイグイとひきつけられることは間違いない小説ではあるけれど、世界のハルキムラカミが次から次へと、饒舌なまでに繰り出すあれやこれやの小道具について、その実際に通じていたほうがきっと、もっとリアルに作品世界に没入できるんだろうなあ。。。と、思いつつ、平家物語ってどんな風に吟じられるのか、いまいち実感がわかないワタクシ。

 

琵琶の弾き語りを聴く機会も、あんまり無いしなあ・・・。

そんなアナタ、そしてワタクシに、朗報です。

トッパンホールで幽玄なる琵琶絵巻を楽しむことができるのデス!(ちょっと強引?)

 

それがコチラ、中村鶴城 琵琶リサイタル2009

 

薩摩琵琶の第一人者、中村鶴城さんがライフワークとしている「琵琶伝」シリーズ。口語体の語りと、文語体の琵琶歌を組みあわせ、物語世界をたっぷりと聞かせます。

今年は、修験道の開祖、「役行者」がテーマ。

子どもの頃、藤川桂介さんの「宇宙皇子(ウツノミコ)」にはまったワタクシにとって、ミコの育ての親、役小角(=役行者)は、とーっても身近な存在でした。

 

読んだソバから何でも忘れるトリアタマのワタクシですので、はっきり言って詳細は何にも覚えてないのですが、「良いヒトだった」という記憶は残っております。(あれ?違ったっけ?)

 

オトナになって、実在の人物「役行者」の本当のひととなりを、第一人者の卓越した撥さばきで、そしてトッパンホールの、ささやきまで耳に迫る音響で聴けるなんて、なんとも楽しみであります!

 

「1Q84」を読んで、ヤナーチェクではなく(なぜか)平家物語に惹かれたソコのアナタ!

ぜひ、7月26日(日)には、ホールで琵琶絵巻をお楽しみくださいませ。

 

p.s.ちょっとネタバレ。

「ふかえり」なんですけれども、登場した瞬間から、そのたたずまいと話し方がエヴァンゲリヲンの綾波レイとダブってしまい、アニメで声をアテている林原めぐみさんの声でしか読めなくなってしまいました・・・。

きっとそういうヒト、多いんじゃないかしら。

エヴァ好き(=MAGIさん・笑)にも、楽しんでいただける小説だと思います、って、いまさら宣伝するまでもなくバカ売れの本ですが。

 

優しく厳しく元気よく

2009年7月 9日 木曜日 ボンジュール小石川 | | コンサート情報

一流アーティストのリハーサル風景を拝見すると、ときどき、

 

「喧嘩でもしてんのかな、、、、(ドキドキ)」と落ち着かない気分になることがあります。

 

とりわけ外国のアーティスト、さらには国籍が違う人同士だったりすると、お互い母語ではない英語を不器用に操りながら大声でやりあっていたりして、思わずヘビとマングースの戦いが脳裏をかすめたり・・・。

 

当然ソレは、別に喧嘩しているワケでもなんでもなくて、よりよい音楽をつくりあげるために必要な創作上のプロセスに違いないのですが、

 

「も、もう少し穏やかにいきませんか、、、、」と、お茶とお茶菓子を用意したくなることもしばし・・・。

 

その点、明日に公演がせまり、ただいまホールでリハーサル中のストリング・クヮルテット ARCOは違います。

 

お互いの音楽性に対するあふれんばかりの敬意を大切にしながらも、率直なダメだしが頻繁に繰り出され、そして受け手も真剣に、貪欲に聞いている。

 

簡単なことのようでいて、4人が対等な存在でありながら、お互いがお互いを高めあうというのは、とても難しいことなのではないでしょうか。

 

きっと、それぞれがそれぞれの場所で活躍する中で培ってきた経験と、《七夕クァルテット》と自称するほどに演奏の機会が少なかった時期にも途切れることなく育んできた友情があるからこそ、できるのでは無いかと、そのように思いながら、うっとりと、隅っこで、リハーサルを拝見いたしました。

 

リハーサルは、まだまだ続きます。

 

本番が、ますます楽しみになりました。

 

みなさまも、どことなく高い体温が心と体に心地よいARCOの美しいハーモニーを聴きに、ぜひ、トッパンホールへお越しください。

 

お待ちしています。

 

 

若さと、勢いと、不幸な歴史と。

2009年7月 3日 金曜日 ボンジュール小石川 | | コンサート情報

6月30日のパヴェル・ハース・クァルテットは、日本ではほとんど無名に近いクァルテットの公演であるにも関わらず、即売のCDがキレイに売り切れる熱い、熱い演奏会となりました。

 

アンコールやサイン会ではニコニコと屈託なく楽しげなメンバーの、見た目通りの若々しさと、見た目を裏切る猛々しさが、絶妙なバランスで同居した絞りたてジュースのような、酸味も甘みも盛りだくさんのおいしい演奏、多くのみなさまにご満足いただけたようでした。


ボンジュールも、前半のヤナーチェクだけ聴くことができましたが、ヒトヅマとの不倫の恋に幸福と憔悴の間を右往左往していたに違いない老巨匠の、心のヒダを自ら抉り出して晒しモノにしながらとっくりと点検しているかのような、主観性と客観性が入り混じるキョーレツな作品(?)に果敢に体当たり、聴き手をうっとりと酔わせてくれたのでした。

 

さてこのクァルテット。

 

チラシやメールマガジンをはじめ、色々な媒体で何度か申し上げてきましたとおり、ホロコーストの犠牲となったチェコの作曲家、パヴェル・ハースをその名に冠しています。
チェリストのヤルシェクがインタビューでも語ったように、第二次大戦前後にヨーロッパで活躍したユダヤ人の音楽家たちの多くは、その不幸な歴史ゆえか、音楽面での成果も長い間忘れられたままでした。

近年、そうした作曲家たちの作品を積極的にとりあげる若い演奏家が多く登場していますが、トッパンホールの主催公演もまた然り。
パヴェル・ハース・クァルテットもそうですし、エスポワールの8代目として登場する日下紗矢子さんも、「頽廃音楽家」の烙印を押されたまま強制収容所で命を落とした、エルヴィン・シュルホフを3回のシリーズすべてでとりあげ、その真価を紹介してくれます。

 

そして、7/10に登場するストリング・クヮルテット ARCOがとりあげるのが、アレクサンドル・フォン・ツェムリンスキー。
先のふたりとは立場は異なり、強制収容所に収容されたわけではありませんが、ナチスドイツの迫害を逃れアメリカへ渡る道を選んだ俊才。日本ではなかなかその作品を耳にする機会の無い彼の、限りない美しさに満ちた弦楽四重奏が、名手4人が揃ったARCOの演奏で、瑞々しく蘇ります。

 

個性豊かなメンバーの中で、日頃はおっとりと泰然自若だというファーストヴァイオリンの伊藤亮太郎さんが、クヮルテットの歴史のなかで初めて(?)強烈に主張してプログラムに組み込まれたというツェムリンスキー。
ブラームスとシェーンベルクをつなぐ、架け橋のような存在と評される天才の知られざる傑作がどう演奏されるのか。期待が高まりますね。

チケットにはまだ、余裕がございます。

 

ぜひ、お運びください!

 

>>ストリング・クヮルテット ARCOの公演詳細はコチラ

>>メンバーふたり(柳瀬省太、古川展生)の対談が掲載されたトッパンホールプレスはコチラ

Copyright 2002-2016 TOPPAN HALL. All Rights Reserved.