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ボンジュール小石川: 2010年7月アーカイブ

転がって、上る

2010年7月21日 水曜日 ボンジュール小石川 | | ホールよもやま話

夢のような三連休、みなさまいかがお過ごしでしたか?

 

わたくしボンジュールは、文字通り夢とうつつを行き来しながら、熱気と湿気で息苦しい横浜のあばら家に篭もりきり、うつらうつらとまどろみ続けた3日間でした。振り返ると、じっとりと肌に吸い付く布団の艶かしい感触と、気の早いセミ時雨の間断ない響きばかりが思い出され、ジジジジ、ジジジジ・・・といつ果てることもなく続くセミたちのさえずりは、連休が明けた今となっても、鼓膜の奥の奥深くで、虚ろに、けれどどこか物悲しく、響き続けているのです・・・。

 

なんちゃって。

 

公共の電波(?)に、変なポエムを載せちゃってごめんなさい。

 

さてそんな三連休、都内では連日たくさんのコンサートが催され、おひとりで、あるいはご家族ご友人と、音楽浴にお出かけになられたかたも多いのでは。わたくしボンジュールも(ひとりで)、東京二期会による「ファウストの劫罰」を観に、東京文化会館に出没いたしました。

上野の街は、むき出しの太陽が息苦しいほどの暑さを演出するなか、それはそれはたいへんな人出。「大哺乳類展」開催中の国立科学博物館をはじめたくさんの催し物が開かれ、子どもたちの歓声が響き渡ります。そんな喧騒の屋外とは異次元のように、満場の東京文化会館はどことなく神秘的なムードに包まれ、約2時間40分にわたって、夢のようなひとときを体験することができました。

 

とりわけ、今回のプロジェクトを印象付けたのは、やはり大島早紀子さん演出による圧巻のダンス!

重力の法則に徹底的に逆らい、限りなく軽やかでありながら、その踊りの芯には果てしない重さを秘めた、はかなさと血なまぐささが紙一重で同居する素晴らしいダンスは、一歩間違えれば単なるアクロバットになりそうなところ、絶妙な塩梅で音楽と一体化し、見事に世界観を形成していました。

ダンサーたちは、綿密に構築されたワイヤーワークで重力を否定するのはもちろんのこと、舞台上の階段を「転がり上る」という離れ業で、観るものの度肝を抜くのです。

落ちるならまだしも、転がって、上る。

びっくりしました(もちろん、階段落ちとか、奈落落ちとか、それはもう色々と大変そうです)。

 

作品全体としては、踊りに焦点が集中するあまり、ちょっぴり、登場人物たちの心の動きがないがしろにされている嫌いがあって、「あれ?」「なんで?」「どうしてそうなるの?」と首を傾げたくなることがあったり、さらには、やっぱりアクロバットショーになってしまっているところも、なかったわけではないと思いますが、それにまた、もう次は無いというか、同じようなワイヤーワークではこの次は驚けない、というのは厳然とあると思いますけれども、それでも、非常に高度に、音楽とダンスとの融合が実現した、素晴らしい試みだったように、思うワタクシです。声楽アンサンブルのみなさんが、整然とムーブメントをこなしていて、それも、あんまり日本の舞台では観られないような気がして、目を引きました。

 

ダンサーさんたちは、4日間にわたって休むことなくアレを躍り続けるんだから本当に凄いです。この公演で命潰えても構わないとばかりの壮絶なる覚悟、そして、明日はもう踊れなくなるかもしれないという身体を使った芸術ゆえの諦念、そんなものが、瘴気のように漂いでていて、その瘴気は、ドロドロのギトギトなんだけれども、とてもとても、美しいものなのでした。
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