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ボンジュール小石川: 2012年12月アーカイブ

こころのなかにじんわりと・・・

2012年12月17日 月曜日 ボンジュール小石川 | | ホールよもやま話

クラシック音楽の世界にかかわっている人間が、

こんなことを自慢げに言ってよいのかどうかわかりませんが、

私は本当に曲名を覚えるのが苦手で、

とある曲を聴いて、

かろうじて作曲者名までは頭に浮かんできても、

それとて有名な楽章の有名なフレーズを聴かないと浮かんでこないわけですけれども、

かりに浮かんできたとして、

それがヴァイオリン・ソナタの第ナン番か、などと問われると、

ハテ何番だったかいのぅ? と首をかしげたまま360度首の重みで1回転しちゃうようなヤツなんですが、

 

そんなヤツなので、正確な役名はおろか、上演年も演目名もろくすっぽ覚えてはいない、

覚えてはいないけれど、

中村勘三郎さんのお芝居は、こころのなかにじんわりと焼きついているようです。

 

最初に観たのは8月の納涼歌舞伎、

20世紀も終わろうかしらという頃、大学の同級生に誘われて初めて歌舞伎座を訪れたとき、

勘九郎さんは「ちゅう乗り」をされていて、

難しくて眉根を寄せているか眠くなっているかしているはずだったその観劇が、

爆笑のウチに幕を閉じてカラダがホカホカと温まっていた、

おかげでそれからも、何度かホカホカになることができたものです。

 

笑った記憶半分、泣いた記憶半分、

シアターコクーンの異世界も、平成中村座のお祭も、

どちらもホクホクと味わって、

こんな地味な、歌舞伎のなんたるかなんてわかってないし実際のところそれほどわかろうともしていない田舎モノにまで、感動のおすそ分けをくれましたっけ、

 

花冷えの浅草で今年拝見した平成中村座、

案の定演目の委細は覚えていないのだけれど、

勘三郎さんになられてからいよいよ増したサービス精神たっぷりに、

会場をわかせてくださっていたけれどお声がかすれるのはいかんともしがたく、

それだけに、新しい勘九郎さんがますますたくましくなられている、

その対比がいよいよ際立って、

心強いような少し寂しいような、そんな気分でしたっけ。

 

ご存じの通り、ご自宅は文京区、このビルからは目と鼻の先で、

ときおり、

車の助手席におさまってふくふくと微笑んでおられる姿を拝見するにつけ、

勝手に親近感を覚えていただけに、

突然の訃報には、本当に。

 

合掌。

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