トーマス・ツェートマイヤー J.S.バッハ 無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ 全曲演奏会
Thomas Zehetmair
©Priska Ketterer
ヴァイオリニストに「最も大事なレパートリーは?」と尋ねたら、ほとんどの演奏家が、J.S.バッハの《無伴奏ヴァイオリンのためのソナタとパルティータ》の名を挙げるでしょう。トッパンホールの主催公演に登場する実力派たちであれば、その確率は更に高くなるに違いありません。そんな彼らの願いは──トッパンホールの主催公演でこの曲集を弾くこと。本当に嬉しいことに、何人もの名手からそういった希望を伺ってきたのです。そしてそれは同時に、このホールで弦楽器の響きを心ゆくまで楽しみ、「弦のトッパン」と支持してくださる多くの弦楽器ファンにとっても同じことだと考えました。
ホール10周年にあたる今シーズン、満を持してこの曲集をトーマス・ツェートマイヤーに託してお贈りします。2007年のヴィオラのキリウスとのデュオ公演終演後、楽屋で提案したところ即座にOK。「このホールでバッハを弾けるなら、いつでも来るよ」と、少年のように目を輝かせたトーマスの顔が、いまでも瞼に焼きついています。
ザルツブルクに生まれ、神童の名を欲しいままにしながら、安易な名声の上に胡坐をかかず、クレーメルの影響を受けたり時代に先駆けて古楽奏法との折衷を試みたりと、様々な芸術的放浪を繰り返してきたツェートマイヤー。そうした修行がまさに近年一つの形に結実し、大きな果実をつけるに至りました。その結果、今日ヨーロッパの音楽シーンで最も充実した活躍を続ける一方、妥協を排した完璧主義を貫き、未だに茨の道を歩まんとするその姿勢には求道者の趣きすら感じられます。そんなツェートマイヤーにだからこそ、いまバッハのこの曲集を託し、みなさまにお届けしたいと思います。
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