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インタビューInterview

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昼下がりを華麗に彩る、優美にして豊暁な歌の饗宴  

市原多朗 Taro Ichihara

緑川まり Mari Midorikawa

進行=
トッパンホール

圧倒的な美声で世界中のオペラ・ファンを熱狂させてきた市原多朗と、稀有な声と表現力でヨーロッパ・デビューでも大成功を収めた、緑川まり。 強い信頼関係に結ばれた二人が、今回初めて、ピアノとのシンプルな組み合わせで共演します。 イタリア生まれの優美な古典歌曲から十八番のイタリア・オペラまで、豊かな歌声がトッパンホールに満ちる、幸福なひととき―。 熱く愛を歌い上げるお二人に、公演へ向けての思いをうかがいました。


お二人は、トッパンホール初登場ですね。ホールで声を出していただきましたが、いかがでしたか?

市原(以下I): 大変快く歌える、良いホールだと思います。席数が少ないとうかがっていたので、空間も狭く、音響もかなりデッドか、反対に声が響きすぎてお客様の迷惑になるかなどと、初めてのホールでのよくある心配をしていたのですが。
緑川(以下M): 実際にステージで自由に試させていただいて、響きの良い立ち位置も確認できました。きっとお客様にご満足いただけると思います。

今回のプログラムを含め、お二人にとってのこだわりの曲はありますか?

I: 緑川さんとは、5~6年前からになりますか、オーケストラでのコンサートでよく共演させていただいていますが、一緒に歌ったいちばんの大曲が、今回のジョイント・リサイタルでも聴いていただくヴェルディの『仮面舞踏会』の二重唱です。 『仮面舞踏会』は、僕の最も多く歌っているオペラで、実在のスウェーデン国王暗殺事件をもとに作られたものです。全編を通じていちばん良いところと言いますか、ヤマ場がこの二重唱の部分です。腹心の部下の妻であるアメリアへの秘めた恋を告白し、二人が禁じられた愛を確かめ合うのを月の光が晧々と照らし出すという哀しくも美しい場面で、いつ、どこで、何度歌っても、最高の二重唱だという実感があります。
M: このアメリア役は、とりわけしっかりした深みのある声を要求される難役なのですが、市原さんの役、スウェーデン国王グスタフIII世には、それにも増して多くの表現力が求められるので、この盛りだくさんの大二重唱をジョイントで歌われるテノールの方は、あまりいらっしゃらないと思います。このほかの曲目もたっぷり時間をかけて検討し、話し合って選ばせていただきましたので、1曲1曲を大切に良い準備を続けて、しっかりお楽しみいただけるコンサートにしたいと思っています。

ステージに向けて、いつも気をつけていらっしゃることなどがあれば教えてください。

M: 身体という楽器が歌うのにいちばん良い時間帯は、みなさんご存知のとおり夜ですので、マチネ公演の時は、うまく身体に「時差」を作ってやらなくてはなりません。私の場合は、3日くらい前から時間調節を始めて、朝型になるようにしています。新人の頃は、夜更かししたりしても翌日平気で声が出たんですけど。オペラなど歌うものが大きくなると、技術・気力・体力と、いろいろなことがしっかり必要になりますし、精神面―自分をどう演奏に、本番に持って行くかということなども、最近大切に考えるようになりました。
I: 僕は、マチネに照準を合わせるには、出来れば2~3週間前から朝5時起きして、ヨガ・ストレッチなどを1時間半かけてやります。この、自分なりのヨガ・ストレッチは、よほど具合のワルイ時に休む以外は基本的に毎日続けていますが、これを朝いちばんに行うことで、早く体を起こす習慣をつけてしまう、ということです。

M: 市原さんとのジョイントは、私にとって“自分への挑戦”でもあります。市原さんに、「今回も良かった」と認めてもらいたい、という闘志も湧いてきます。
I: 緑川さんのように器の大きい方との共演は、良い意味で“張りあう”気持ちが湧いてきて楽しいです。「声を張りあう」「音楽を競いあう」というオペラの醍醐味、イタリア音楽の基本みたいな楽しさがありますね。
M: ステージの上で歌っている時に市原さんと目が合うと、「愛」を感じるんです。音楽のやりとりで血の通ったフレーズを渡されると、それを受け取り、どう引き継ぐか、どんな心の込もった音楽を返すか―いわば精神の格闘ですね。今度も、もっともっとがんばって「格闘」するつもりです。
I: ピアノの森島英子さんも、素晴らしい演奏家かつ名伴奏者で、僕らの要求をよく理解してくださって、希望をかなえ、更にそれを超えて見事な演奏をなさる方です。
M: ステージでの共演は「受け身」ではダメ。お互いが与えあい、高めあえれば最高ですね。

コンサート、本当に楽しみです。ありがとうございました。

(2003年7月 トッパンホールにて)

緑川まり&市原多朗 ジョイント リサイタル

2003/10/28(火) 15:00

市原多朗(テノール)/緑川まり(ソプラノ)/森島英子(ピアノ)

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