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インタビューInterview

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曲目も共演者もこだわった今回の公演。
3つの違う編成から、変わらない音楽への取り組みを
聴いていただけると思います。
 

堀米ゆず子 Yuzuko Horigome

日本人初のエリーザベト王妃国際音楽コンクール優勝から20数年。当時の鮮烈な印象を残しながら、音楽家として誠実で確かな歩みを続ける堀米ゆず子が、トッパンホールに登場します。無伴奏、デュオ、五重奏を一夜で聴く贅沢なプログラム、また共演者についてお話いただきました。


 今回は、まずブラームスのクラリネット五重奏曲を決めてから、それに相応しい組みあわせを考えました。プログラミングには、まず調性がどのように変わると良く聞こえるかといった、全体の流れを考えることが大切です。次に気にしたのはコンサートをひらく季節。1月といえば、冬の真っ只中ですよね。もう少し春に近ければ、モーツァルトの五重奏曲がいいと思いますが、1月であればブラームスの方が断然いい。とはいっても、何となく春の兆しも感じたい時期だと思うので、第1番ソナタはぴったりでしょう。音楽も、季節と同様に五感で感じるものですから、プログラムを考える機会がある時は、そういったことにも意識を働かせます。そして、曲が決まれば、本番までにひとつひとつの音にしっかり自分の意志を入れる。つまり、最初の音の出し方や自分がどうしたいのかといったことを、音に込めることがとても大切です。

 ブラームスの五重奏曲と第1番ソナタの後にバッハの第3番ソナタを決めました。第3番は、壮大でカテドラルな曲だし、厳かに始まるのがブラームスの第1番と似ています。実は、この曲は日本であまり弾いていなくて、今回約15年ぶりになります。
 ブラームスの室内楽作品は、学生時代に友人たちと、とことんやりましたから、私にとっては一つの核みたいに感じています。内声部がとても面白くて、内声がしっかりしているとブラームスらしい味が出てきます。五重奏曲はマルボロ音楽祭に参加していた頃、ずいぶん勉強しました。作品の中の細かなニュアンスが演奏に出てこないと面白みがないし、まさに内声部が魅力的な曲です。私は第一ヴァイオリンを担う立場ですが、この曲を演奏する時の気持ちの半分は、どうやって内声部を味つけるかという楽しみになります。
 ブラームスのソナタは3つありますが、第1番はエリーザベト・コンクールに優勝して以来、最近までほとんど演奏していませんでした。というのも、やはりコンクールの後は、自分にも、お客様にも、その曲に対して、ある程度いい印象が固定してしまうものです。それを壊して、また最初から作り直すのは、とても勇気がいります。昔、ルドルフ・ゼルキン氏に「もう一度、作り直すというのは大変だ。まず、自分の古い皮をとらなきゃいけないからね」と言われたことがありました。つまり、それ相当の気力や時間が必要なんです。「そろそろかな」って自然に思えるようになってから取り組む方がいいと思いますね。

 共演者と音楽の方向性が一緒か、また互いに相手の音楽をちゃんと聴くことができるかということは、コンサートの成否を大きく左右しますから、そう感じられるメンバーとやりたいと思いました。また、今回共演する酒井さんのような若い世代と演奏することは、今まであまりなかったのですが、最近、若い人たちに教えるようになり、彼らのエネルギーや好奇心を目の当たりにしたら、すごく新鮮で面白いなって思うようになりました。ソロあり、デュオあり、室内楽ありのプログラムですが、私にとって音楽への取り組み方、作り方は同じなんだということを知っていただけたらと思います。それに、日本でリサイタルをやる機会がそんなに多くないですから、聴く人にとっては、全部入っているのも面白いんじゃないかなと思っています。

シリーズ〈ブラームスをめぐって〉第3夜堀米ゆず子 ―無伴奏、デュオ、そして室内楽

2005/1/26(水) 19:00

堀米ゆず子(ヴァイオリン)/四戸世紀(クラリネット)/堀米もも子(ヴァイオリン)/川本嘉子(ヴィオラ)/木越 洋(チェロ)/酒井 茜(ピアノ)

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