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インタビューInterview

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デビュー20周年の節目に思う、音楽・人生・未来  

竹澤恭子 Kyoko Takezawa

聞き手=
トッパンホール

 20年は早かったですね。数多いコンサートの中では、ニューヨーク・フィルとの共演など、デビューの頃のものが特別な思い出ですね。それまでレコードの世界でしか知り得なかった方々と肩を並べて自分がソリストとして舞台に立つということは、夢の中の話のようでしたから。アメリカが本拠ですから、ウィーンのムジーク・フェラインのようなヨーロッパの大きな舞台に立った時、そしてやはり、カーネギーホールのデビューリサイタルは忘れられません。本当にこれから、自分の音楽家活動が始まるんだ、という実感がわきましたね。

 20年という節目に、これまでやりたかったことをやってみたいと思い、まだやり足りない、まだ弾いたことのない作品に取り組めればと、年1回のペースで3年間にわたる企画に挑戦します。

 皮切りとなる今回は、主に民族音楽を取り上げます。民族音楽は“人間の生活”の中から生まれたものだからでしょうか、生への力強さといったものを感じます。特にバルトークの場合それが前面に出ていて、聴いていても弾いていても、どんどんのめり込んでいってしまいます。人間の生命力の強さとでもいうのでしょうか。それを感じながら弾くのが自分には合っているんでしょうね。

 プログラムは、メンデルスゾーンのソナタでスタートします。作曲されてから何年も出版されずメニューインによって発見された作品ですが、なかなか取り上げられることがありませんので、ぜひ曲の存在を知っていただきたいと思い選びました。ヴァイオリンの見せ場のある華やかな曲で、1楽章には、メンデルスゾーンの新鮮な音楽づくりがよく出ています。ヤナーチェクは、バルトーク同様の民族的な色彩感と、バルトークとはまた違った自由でクリエイティブかつリズム的といった特徴があります。ヤナーチェクを弾くのは初めてですが、今回は、その「面白さ」を効果的に表現できたらいいなと思います。グリーグの3番も有名ですが初挑戦です。自然の美を率直に素朴感をもって謳い、その歌心がとても美しい曲です。どこか懐かしさを覚えるような感触が彼の音楽の大きな特徴です。スメタナの「わが故郷より」は、とてもノスタルジックで、祖国を思う気持ちが温かく、心の奥にぐっとくるような曲ですね。もっと弾かれていいんじゃないかと思う素敵な作品です。最後のバルトークのラプソディは、コンチェルトよりもさらに、民族の踊りが沢山入った楽しい曲です。

 新しく挑戦する曲もありますが、20年の間に積んできた経験と音楽を全て出せるような演奏ができたらと思っています。時の経過のなかで、私がどう変化していったかを思いながら聴いてくださったら嬉しいです。

 これからの目標は、いろいろな経験が音楽に表れてくるような、そういう音楽家になりたい。できるだけ息長く、「あの人のあの音が、忘れられない」といわれる演奏をしていきたいと思っています。

デビュー20周年記念竹澤恭子 ヴァイオリン リサイタル

2007/7/13(金) 19:00

江口 玲(ピアノ)

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