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インタビューInterview

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現在のありのままの姿を届けたい  

甲斐栄次郎 Eijiro Kai

 ウィーンで歌うきっかけになったのは、ニューヨーク、イタリアのボローニャで勉強し、そろそろ劇場やエージェントのオーディションに挑戦しようと考えていた頃、幸運にもウィーン国立歌劇場で専属歌手のオーディションの機会を得ました。2003年から現在までウィーン国立歌劇場の専属歌手として活動しています。

 劇場での出演は、今年5月で30役、180回を超えました。カヴァー(代役としての控え)を務めている役を含めると40以上の役を習得しました。毎年4月半ば頃、約50演目、300公演の新シーズンの主役キャスト、スケジュールなどが発表されます。劇場の専属歌手が主要キャストに組まれる場合は、この時点で何の役をいつ歌うか知ることができますが、それは仕事のごく一部にすぎません。その他の役での出演・カヴァーは、各月の初めに翌1ヶ月間のスケジュールが言い渡されます。ゲスト歌手の周囲を固めるのが約40人の我々専属歌手の仕事になります。

 役づくりは、本番直前の数日間、他のキャストとの立ち稽古に限られますから、主にコレペティートアとの個人稽古で仕上げます。新しい役を習得するのに最低でも一ヶ月程の時間は必要ですが、同時に他の演目のリハーサルや本番も入るので、最初の頃はなかなか大変でした。新しい役の場合、準備万端でリハーサルや公演に臨んだつもりでも、舞台の上で演じる段階になってから、その人物が思っていることを「真実の感覚」として感じ取ることがあります。「なるほど、こうした気持ちか」と、楽屋に戻りながら妙に納得する時もあります。役の完成は、歌手としての自分自身の成長と共に、舞台経験を通して出来上がっていくものかもしれません。

 今後も、新たに挑戦していかなくてはならない役は限りなくあります。オペラ歌手として、なによりも大切なことは、「歌う舞台」があることだと思います。歌える限り、舞台に立ち続けられる状況にあることが、一番の喜びで、人生の目標であり、私の夢です。

 今回のコンサートは、大村さんのレパートリーと重なる演目を前提に、これまでに舞台で歌ったもの、また舞台上での経験はなくとも、カヴァーを務めている役、そして今後挑戦していきたい役から選びました。日本で歌う数少ないチャンスですので、現在のありのままの姿を、コンサートに足を運んでくださる方々に披露できればと思います。

 大村さんとは東京芸大時代の同級生ですが、一緒に歌うのは今回が初めてになります。卒業後は、それぞれ異なる国で勉強、活動を続けてきました。また、河原さんはオペラ研修所11期生時代、研修生として彼の指導を受けました。時を経て、こうした方々と舞台を共にできることは大きな喜びです。

大村博美&甲斐栄次郎 オペラ・アリアで綴る愛のかたち

2007/8/11(土) 18:00

大村博美(ソプラノ)/甲斐栄次郎(バリトン)/河原忠之(ピアノ)

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