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インタビューInterview

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輝きに満ちた傑作を通して、天才ハイドンの真価を聴いて欲しい  

ジョス・ファン・インマゼール Jos Van Immerseel

聞き手=
トッパンホール

ハイドンの名作《十字架上のキリストの最後の7つの言葉》(以下、《十字架》)の多くの編曲版のなかで、鍵盤楽器版の魅力はどこにあるのか、教えていただけますか?

 《十字架》は、実に特殊な曲です。1時間近くにわたり遅いテンポで演奏されますが、非常に詩的で劇的な内容に溢れています。鍵盤楽器版を弦楽四重奏版やオーケストラ版と比較してみると、鍵盤楽器版は簡潔でありながら、この作品の壮大さや壮麗な美しさを見事に引き出しています。また、この音楽が持つ修辞学的な力はユニークで、宗教的な背景を知らずに聴いても、作品の持つ壮麗さに驚くでしょう。19世紀初頭において、この曲はオラトリオ《天地創造》以上に、ハイドンの作品の中で最も有名だったのです。

オーケストラ版と、鍵盤楽器版との間には、何か違いがあると思いますか?

 1787年7月23日にハイドン自身が、「鍵盤楽器版はとても入念に作られ、素晴らしい出来だ」と記しています。弦楽四重奏版やオーケストラ版には共通性がありますが、これら3つのバージョンの音楽は全く違いますし、その演出や作法も完全に異なっています。

この曲では、音楽と「言葉」が密接に結びついていますが、ハイドンの創造力については、どのような印象を持っていますか?

 ハイドンが創造した《十字架》の世界は、膨大な修辞法の知識と彼が用いていた様々な音楽的表現法からはぐくまれました。それによって、彼は7つの「アダージョ」に各々独立した特長を与えることができたのです。また、テンポを一貫させることで、7つのソナタのコントラストがより鮮明に表れているのです。

トッパンホールでのリサイタルでは、前半、ハイドンの2つのソナタ、そして「アンダンテと変奏曲」を演奏されますね。これらの曲と、《十字架》の演奏には、何か関連が生まれるでしょうか?また、このプログラムを通して、聴き手のみなさまに伝えたいことは何か、教えてください。

 リサイタルの前半では、とりわけフォルテピアノのために書かれたハイドンの3つの美しい作品を通して、まずこの作曲家の音楽言語をご紹介します。その導入の後に《十字架》を聴けば、この作品の特異性がより分かりやすくなるでしょう。
 ソナタが持つ言語と《十字架》のある部分は根本的に同じですが、表現方法は比較できません。この作品は簡潔な表現手法で書かれていますので、この点からみれば、この曲をモンテヴェルディの《オルフェオ》第5幕の冒頭やモーツァルトの《魔笛》のアリア、シューベルトの秀逸した歌曲と比較することもできます。

 今回のリサイタルで使用するのは、クリストファー・クラーク制作のアルトン・ワルター・モデルです。 この楽器は、まさにハイドンの音楽と同じように、とても単純な発想と機械的仕掛けがほどこされていますが、予想もできないくらい表現力に富んだ楽器です。 クリストファー・クラークのフォルテピアノを聴けば、ピアノという楽器が本来どのような音を出すものなのか分かるはず。ぜひ、みなさまにも聴いていただきたいですね。

ジョス・ファン・インマゼール(フォルテピアノ)

2009/3/12(木) 19:00

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