公演情報Concerts
北村朋幹 short interview

嘉目真木子さんの印象
声が美しいなと。弱音の美しさとか、大切な言葉のときのちょっとしたニュアンスが、すごく好きですね。歌詞も僕らがいま使っている日本語とは違うのに、それでも共感できるのは、やはり母国語であるという先天的なものなんでしょうね。
嘉目さんとは今回が初共演ですが、リハーサルの段階からお互いアイディアや疑問がどんどん出てきて、妥協せずにやっていたら、前半だけで3時間もかかってしまいました(笑)。コンサートではお客さまのほうを向いて歌いますよね、リハではこちらを向いて歌ってくれたので、すごいうれしくて、贅沢なひとときでした。
ピアニストからみた日本歌曲
ドイツ・リートはたまに伴奏していますが、日本歌曲は今回が初めて。時代を順に追っていくようにプログラムされていますが、初期の作品はヨーロッパ音楽のイミテーションという感じがします。とくに瀧廉太郎〈花〉は「春のうららの隅田川」って日本語歌詞がついているから、パッと桜の情景が思い浮かぶけど、これがドイツ語の歌詞だったら、全く違う曲に聴こえてもおかしくない。時代が進むにつれ、日本人としての音楽をつくるんだという気概を感じましたが、ヨーロッパの技法に日本語で日本の歌曲を書いているから、その融合に苦労されているなとも感じました。でもそのギャップがとても難しくて面白いんだと、演奏していて思いました。
初共演へ向けて
初回のリハーサルを終えて強く思ったのは、嘉目さんご自身が好きな曲を選んだということが、このプログラムを結ぶ重要な「鍵」になっていること。
様々なタイプの曲があるなかで、当然、僕も音楽家として心から共感できるものと、若干の距離を感じるものはあります。だからこそ、共感できる音楽家が選んだ作品には、こちらも自ずと近付くことができるし、こういった出会いによって今まで全く知らなかったことや、自分では能動的に取り組まないであろうことに触れられるのは、とても新鮮で幸せな体験です。
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