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公演情報Concerts

音楽評論家・三橋圭介氏が語る公演の聴きどころ

ニコラ・アルトシュテットのトッパンホール・デビューは、とても変わったプログラムだ。曲だけを見てもピンとこないかもしれない。名だたる作曲家たちと名曲が並ぶ。しかしこんなプログラムは見たことがない。あえて名付けるなら「スコルダトゥーラ・デイ(変則チューニングの日)」である。唯一、デュティユーのみ通常のチューニング(ド‐ソ‐レ‐ラ)であるが、他はすべてスコルダトゥーラである。ガブリエッリはボローニャのイタリアン・チューニング(ド‐ソ‐レ‐ソ)、バッハもガブリエッリ同様イタリアン・チューニング。コダーイは低弦の2本を半音下げ(シ‐ファ♯‐レ‐ラ)、ヴィトマンもそれに倣った調弦を使っている。これは偶然ではなく、演奏曲順からもうかがえる。これらの曲を一気に聴ける機会はそうあるものではない。それゆえにアルトシュテットのリサイタルにかける気迫が感じられる。スコルダトゥーラとは楽器の異化、すなわち、チェロという楽器を音楽的理想によってねじ伏せるものと言ってもいい。アルトシュテットによる「スコルダトゥーラ・デイ」は、言い換えるなら「チェロの可能性探求の日」なのである。

三橋圭介


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