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インタビューInterview

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アイレン・プリッチンの写真

清新な感性で時代を揺さぶる俊英、待望の日本初リサイタル! トッパンホールプレスVol.119より

アイレン・プリッチン(ヴァイオリン) Aylen Pritchin

取材・文=
トッパンホール

2019年、クルレンツィス率いるムジカエテルナのゲスト・コンサートマスターとして来日し、静かな佇まいのなかにも衝撃的インパクトを残したプリッチン。2014年のロン=ティボー覇者でもあり、その活躍はヨーロッパを中心に広く世界中に及んでいます。待望の日本初リサイタルを前に、メール・インタビューで彼の人柄と今回の聴きどころに迫りました。


ヴァイオリンをはじめたきっかけと、影響を受けた音楽家がいらしたら教えてください。

5歳のとき、両親とクラシックのコンサートに行きました。そこでコントラバスを見た私は、「見て!大きなヴァイオリン!」と叫びました。その後、私たちはホールから追い出されてしまったのですが(笑)。それから両親にヴァイオリンを買ってほしいと頼み、今に至ります。両親は音楽家ではありませんが、私はいつもレコードやCDを聴いたり、ラジオで放送されるコンサートをカセットテープに録音したりしていました。11、12歳のとき、初めてマリア・カラスのレコードを聴きました。彼女は、私が意識的に尊敬するようになった最初の音楽家です。その後はワーグナーに、そしてオペラ全般に夢中になりました。現代の演奏家のなかでは、イアン・ボストリッジとトーマス・ツェートマイヤーが好きです。

日本の印象、聴衆の印象をお聞かせください。

初めて日本を訪ねたのは確か2004年、「若い音楽家のためのチャイコフスキー国際コンクール」に参加したときでした(編注:この年は倉敷市で開催。プリッチンが優勝)。まるで別の惑星に来たみたいに、すべてが異なりました! どこへ行っても、日本のような聴衆を見つけることはできません。その素晴らしさは世界的に知られています。日本でのコンサートは、まるで150年前、ベルリンでヨーゼフ・ヨアヒムがベートーヴェンの弦楽四重奏曲を弾いたときのようで、人々が演奏のどんな細かいところも聴き逃すまいと、固唾をのんでいたときを彷彿とさせるのです。日本で演奏できることをいつも光栄に思っています。

さまざまなピアニストと共演されていますが、初めての共演者と弾くときにどんなことを考えますか? 共演の条件や選曲のこだわりはありますか?

いい質問ですね! 私にとって、共演者と共鳴するための適切なプログラムを選ぶことは、とても重要です。たいてい、まずは二人が合意する1曲を探します。それから良い組み合わせとなる曲を考えます。私は共演者と話し、ディスカッションし(これによってお互いをより知ることができます)、二人ともが気に入ったプログラムを完成させます。私は、常に新しいアイディアや弾いたことのないレパートリーを探し求めているので、プログラムを決めるプロセスはとても楽しいのです。

音楽家として譲れない信念はありますか?

音楽は文法とルールを持つ言語です。無意識にナンセンスな演奏をしているのを聴くと、とても悲しくなります。

音楽に触れている時間以外では、どのようなことをするのがお好きですか?

練習したり教えたり勉強したりすることに忙しく、音楽を聴く時間すら十分にとれていないので、答えるのが難しいですね(笑)。珍しい楽譜、例えば初版などを集めるのが好きなんですよ。

トッパンホールは、コパチンスカヤの日本のホームホールでもあります。ムジカエテルナでは、コンサートマスターとして彼女と共演されましたが、彼女から受けた影響や感じたことはありますか?

パトリツィアは、パフォーマンスの限界を超え、音楽と聴衆との間にある壁を破る、ユニークな才能の持ち主です。私たちの多くは、彼女から自由と表現力を学んでいると思います。特別な人を真似しようとしても無駄ですが、彼女のエネルギーと、新しい世界を拓こうとする弛まぬ探究心は素晴らしいです!

今回のプログラムの聴きどころ、そしてトッパンホールのお客さまへメッセージをお願いします!

〈エスポワール スペシャル〉という素晴らしいシリーズに出演する機会をいただき、さらに、とても才能のあるピアニスト北村朋幹さんと共演できることを、たいへん嬉しく思いますし、感謝しています。プログラムはいずれも、極めて近い時代に書かれていて、その頃の世界がどうであったかを如実に現し、バラエティに富んだ表現で私たちに示してくれる、特別な作品たちです。メトネルでその時代の郷愁を感じる一方で、ヤナーチェクの音楽からは、平和を切望する男の苦悩と狂気の世界が垣間見えます。ラヴェルでは自分自身に調和を見出し、エネスクではルーマニア民俗音楽の野性的な美しさの中に深々と飛び込んでいきます。
トッパンホールの聴衆の皆さんと、このエキサイティングな旅ができることを願っています!

> 共演に寄せて――北村朋幹Message

〈エスポワール スペシャル 16〉アイレン・プリッチン(ヴァイオリン)

2022/10/17(月) 19:00

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