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主催公演シリーズ企画TOPPAN HALL Series

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ハーゲン プロジェクト

音楽は受け継がれ、歴史が編まれる

私の手許に1983年のロッケンハウス音楽祭の4枚組のLP(Orfeo)がある。それが、おそらく私がハーゲン・クァルテット(以下ハーゲンQ)を強く意識した最初だったように思う。モーツァルトを産んだザルツブルクのサラブレッド達は、デビュー当時、オーストリアの、いやヨーロッパの寵児だった。なにも巧まずに自然に弾いて、それがサラッときれいな音楽に仕上がる。まるで梨園の御曹司達のような気品のある清々しい音楽は、いまだ芸術界に深くナチスの爪痕を残すヨーロッパ楽壇に新風のように響き輝いたに違いない。しかし、かけがえのないみずみずしさとナイーヴさは、裏を返せば頼りなさや脆さにもつながる。新世代の台頭を感じながらも、彼らがどのように変化していくのか目が離せなくなり、機会あるごとに実演を聴き続けた。そして2000年代に入るころには、ナイーヴさはそのままに現代性も加味しながら逞しく輝く、新世代を牽引するクァルテットの姿があった。

昨春ウィーンで、クレメンスから「世界最終公演をTOPPANホールで行うというのはぼくらのたっての希望だからね」と告げられた時は本当にびっくりした。ジャン=クロード・ペヌティエに続いてハーゲンQも、TOPPANホールでその活動を終えることになり、世界の超一流が408席の極東の小さなホールを最後の地として認めてくれていることが嬉しかった。
引退を発表して臨む最終のシーズン、ややもすると、それまでの総括や傷の少ない完成度の高い表現をめざしがちな気がするが、昨年11月のTOPPANホールで、それとは対極の姿勢で臨んだ。弦楽四重奏の表現の可能性をいまだ追求する、まだ見ぬ境地への希求を強く感じさせる攻めた意欲あふれる表現がひときわ印象的だった。卓越した技巧を駆使し、アンサンブルの精緻さを誇る若手弦楽四重奏団が続々と出現、台頭してくる時代だからこそ、ハーゲンQにはまだまだ活動を続け、音楽のおもしろさ、奥深さを追求するさまを示し続けて欲しかったと思うのは、おそらく私だけではないだろう。しかし彼らは停滞や後退を嫌い、頂点で静かに幕を降ろす決断を下した。その潔さもとても彼ららしく合点がいく。最終公演でのクレメンスの娘、ユリア・ハーゲンとの共演は、家族でクァルテットをという古のスタイルや彼らの出自を思い起こさせる。一方、未来を託す若手として抜擢したのが、我らが谷昂登というのもなんとも言えず嬉しい。

ハーゲン・クァルテット、本当にありがとう!

TOPPANホール プログラミング・ディレクター
西巻正史

(2026年)

  • Hagen Quartett ©Andrej Grilc
    ルーカス・ハーゲン(第1ヴァイオリン)
    ライナー・シュミット(第2ヴァイオリン)
    ヴェロニカ・ハーゲン(ヴィオラ)
    クレメンス・ハーゲン(チェロ)

Message from Hagen Quartett

Hagen Quartett
Lukas Hagen,Rainer Schmidt,Veronika Hagen,Clemens Hagen
ルーカス・
ハーゲン
Lukas
Hagen,
violin
ライナー・
シュミット
Rainer
Schmidt,
violin
ヴェロニカ・
ハーゲン
Veronika
Hagen,
viola
クレメンス・
ハーゲン
Clemens
Hagen,
violoncello

TOPPANホールは、私たちの音楽人生において欠かせない存在です。最初のコンサートのときから、私たちはこのホールの完璧な音響、雰囲気、そして素晴らしい聴衆にすっかり魅了されました。何度もここに戻ってくることができたおかげで、TOPPANホールはウィーン・コンツェルトハウスやシューベルティアーデと並んで、私たちにとって日本における“our musical living room(音楽のリビングルーム)”となりました。ステージに立つたびに、特別な力を得るように感じましたし、私たちはこの場所をいつまでも心に刻み、ここで行ったコンサートを唯一無二の体験として、ずっと忘れずにいるでしょう。西巻さんとそのチームの皆さんは、ステージ上でも舞台裏でも、私たちをアットホームな気持ちにさせてくれました。長年にわたり私たちを信頼してくださった西巻さんには、感謝してもしきれません。このホールで私たちのキャリアを締めくくることができ、大変嬉しく思っています。

Toppan Hall has been an integral part of our musical life. From our very first concert, we fell in love with the hall—its perfect acoustics, the atmosphere, and the wonderful audience. The opportunity to return here again and again has made Toppan Hall our musical living room in Japan, alongside the Wiener Konzerthaus and the Schubertiade Festival. Each time we stepped on stage, it felt like a special source of motivation, and we will carry this place forever in our hearts, always remembering our concerts here as unique experiences. Nishimaki-san and his team made us feel at home, both on stage and backstage. We cannot thank Nishimaki-san enough for trusting us all these years, and we are thrilled to conclude our career in his hall.

2013
ベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲
Beethoven-Complete String Quartets
ベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲 公演の様子ベートーヴェン弦楽四重奏曲全曲 公演の様子 その2
2015
モーツァルト・ツィクルス
Mozart cycle
モーツァルト・ツィクルス 公演の様子モーツァルト・ツィクルス 公演の様子 その2
2025-2026
ハーゲン プロジェクト フィナーレ
Hagen Project Finale
ハーゲン プロジェクト フィナーレ 公演の様子
HAGEN PROJECT FINALE

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